リネⅡ「リオナ?鯖」で活動中 緑のニョッキ


by onigawala
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

手紙

お元気ですか。
風邪をひいたりしていませんか。
怪我などしていませんか。
こちらは父さんも母さんも元気にしています。
もうすぐお誕生日ですね。
少し早いけど、十七才の誕生日おめでとう。
お祝いのクッキーを焼いたので送ります。
たくさん焼いたので隊のみなさんと一緒に食べてください。
服も幾つか送ります。
前に戻った時からもう一年になりますね。
今の寸法が判らないので少し大きめのものを買いました。
もし合わなかったらごめんなさい。
先日、村にも駐在の兵隊さんが来てくれました。
これで安心して畑に出られるとみんな喜んでいます。
あなたもこんなふうによその村や町を守っているのでしょうね。
みんなの為に戦うあなたを母さんは誇らしく思います。
がんばって下さい。
でも身体にも気をつけて下さい。
病気をしないようにして下さい。
怪我をしないようにして下さい。
父さんも口には出さないけれど心配しています。
忙しいのでしょうが、もう少し手紙を下さい。
   母より。


追伸
次はいつ帰れますか。



--------------------------------------------------------------------------------







前略、返事が遅くなってごめん。
こちらに届くのが少し遅れました。
一度軍を通るので、遅れる事もあるみたいです。
でも、クッキーも服もちゃんと届きました。
ありがとう。
誕生日は過ぎてしまったけど、久しぶりのお母さんのクッキー、
とてもおいしかったです。
小隊のみんなに分けたら、あっという間に無くなってしまいました。
みんなおいしいと言ってくれました。
小隊長にも食べてもらいました。
お前のお母さんは菓子を焼くのが上手だと誉めてくれました。
とてもうれしいです。
服は合いました。
でも、服はお仕着せで足りてます。
送ってくれなくてもいいので、その分で、何か自分の物を買って下さい。
今、僕の部隊は北の町にいます。
町の人達はみんな優しくていいところです。
僕はがんばってこの町を守ります。
お父さんお母さんがいる町だと思って守ります。
実は、来週に休みがもらえます。
何日かまとまってもらえるので、家に帰れます。
こちらの珍しい物をお土産に持って帰ります。
きちんと日が決まったら知らせます。
あと、僕は元気です。
病気も怪我もしてません。
お父さんにも心配しないでと伝えて下さい。
   お母さんへ



--------------------------------------------------------------------------------

面当てを下ろせば、景色は鋼の格子越しになる。
幾度もの訓練で見慣れたそれ。
けれど今。
格子の向こうには敵がいる。
血と肉と命を奪おうと、血剣を振るう敵がいる。
「ワ゛ー!」
叫ぶ。
ひたすら叫んで剣を振る。
まわりを見る余裕なんかない。
隊列がどうなったかなんて判らない。
部隊がどう動いてるかなんて考えてる暇がない。
ただ目の前の敵に斬りつける。


重い。
剣が重い。盾が重い。鎧が重い。
使い慣れたはずのそれが、濡れた革帯のように全身に絡む。
夢中で剣を振るうち、鈍い感触。
ガックリと敵が跪く。
やった!
そう思った瞬間、脇腹に重い衝撃。
息が詰まる。
身体が、弾かれる。
流れる視界の隅に、斧を振り抜く別な敵。
倒れ込む。


お腹が痛い。
イヤだ。
苦しい。
イヤだ!
怖い。
イヤだ!
必死に起き上がる。
手をつき、膝をつき身体を起こす。
けれど、もう一度。
鋼の擦れ合う音と共に、背中から何かが潜り込み、抜ける。


腹の痛みが、消える。
ガクンと身体が力を失う。
倒れ込む。
目の前には地面。
面当てに入り込む土の匂い。
手も、足も、動かない。
感じる。
流れ出してる。
大切なものが、身体の中から流れ出してる
消えていく。
大切なものが、体の中から消えていく。


周囲にあふれる戦いの喧噪が、静かになっていく。
なんだか、一人きりになったよう。
気が付けば闇。
何も見えない。
何も聞こえない。
そして、その闇さえも、消えて、いく。


手紙…届いたかな…
また…おくれてるかな…
おとうさん…
おかあさん…
ごめんなさい…
ぼく…かえれなく…なりまし…た……



--------------------------------------------------------------------------------

お手紙ありがとう。
元気そうで何よりです。
来週には帰れるのですね。
父さんに話したらとても喜んでました。
納戸から釣り竿を持ち出して手入れをしています。
川の様子も見に行ってます。
いろいろと話したいことがあるみたいです。
帰ったら一緒に釣りに行ってあげて下さい。
母さんもあなたの好きなものを沢山作ってあげようと思います。
日が決まったら早めに連絡を下さい。
楽しみに待ってます。
   母より。
[PR]
by onigawala | 2007-04-26 23:09 | ある冒険者達